第5回となります。
今回はいつもより具体的なテーマを書きたくなりました。ちょっと服と自分の関係性とは違うかもな・・・と思いつつ、趣味みたいなコラムなので「まあいっか」ということにしました。
突然ですが、皆さんは古着お好きですか?
私は服屋なだけあって、やっぱり大好き。
珍しい服を見ると興奮するし、作りの良さや生地の経年変化なども好き。あとやっぱり歴史背景があると「特別な一着」に感じるから欲しい!って思いますね。
僕はこんな感じですが、好きっていう感情は人によって沢山あって、それぞれの好きはどんな価値観から来ているんだろう?というのをまとめてみたくなりました。なんでも分類したくなるのは我ながら呆れます。
ただ分類しただけだとつまらないので、それぞれの人たちが今後どんなファッションを好きになるのかを想像してみたいなと思います。
妄想ではなく、なるべく根拠を元に推測するを目標に。
ぜひお付き合いください。
古着好きの種類と、その動機

大きなヴィンテージブームにより市民権を完全に得た昨今、どんどん市場は熟成しています。ヴィンテージと言っても幅広く、色々な人が個性豊かな古着を探し歩いています。
今回はどうやら「第三次古着ブーム」なんだとか。一次は7-80年代のアメリカ文化流入時、二次は90年代のヴィンテージブームを経て、今回の流行にはどんな特徴があったのでしょう。
私は「カルチャー色の薄い」からこそ「広い層に届いた」ブームだったと感じています。
様々な個性ある古着屋さんが努力し、いろんな楽しみ方を古着が提案できたからこそ沢山の人が古着を好きになってくれた。
古着好きの種類と、その動機はこんな感じ。
| 層 | 主な動機 | 行動の特徴 | 古着に求めている価値 |
|---|---|---|---|
| 古着ライト層 |
ファッションに悩む |
SNSや店頭で見かけて興味を持つ まずは1点から試す |
手軽さ 価格 雰囲気 トレンド感 |
| ファッション層 | トレンドとして取り入れたい 自己表現 カルチャー由来(ライフスタイル) |
新品と古着をMIX スタイリング重視 |
個性 バランス スタイルの完成度 |
| 品質・価値層 | 古いものに愛着 作りの良さが好き 経年変化 |
素材・縫製・年代を確認する | 品質 耐久性 本質的な価値 |
| 体験型 | 懐かしさ 探す楽しさ 店が好き |
店舗を回る 偶然の出会いを楽しむ |
発見 ストーリー 空間体験 |
| ビジネス | 投資対象として見る | 相場をチェック 保存状態を重視 |
資産性 希少性 市場価値 |
古着屋のタイプ
正確性を高めるために供給サイド(古着屋さんのタイプ)も並べ書き出してみました。
| 店舗タイプ | 主な特徴 | キーワード | 提供している価値 | 想定される顧客層 |
|---|---|---|---|---|
| ハイクラス向けヴィンテージ | 希少性の高いアイテムを扱う | 高額 希少 名作 |
資産性 コレクション性 ステータス |
コレクター 投資層 コアなヴィンテージ好き |
| 本格派マニア向けヴィンテージ | 年代や背景に重きを置く | 名作 歴史背景 作り |
知識的満足 本質的価値 |
カルチャー理解層 品質重視層 |
| ファッションとしてのヴィンテージ | スタイリングの一部として提案 | トレンド感 古着MIX オシャレ |
自己表現 コーディネートの幅 |
ファッション層 |
| デイリーユースのお得感あるヴィンテージ | 手頃で選択肢が多い | 安い 商品量が多い 選びやすい |
気軽さ 価格メリット |
ライト層 初心者 |
| センス型 | オーナーの視点で編集されている | センス 世界観 ブランディング |
体験 共感 発見 |
体験型 ファッション感度層 |
体感で9割くらいがこれで分布できたのかなと感じます。
店舗タイプと想定顧客
それぞれを対応させるとこちらの表にまとめられます。
| 店舗タイプ | 価格帯 | 主な価値 | 想定顧客 |
|---|---|---|---|
| ハイクラス向けヴィンテージ | 高 | 希少性・資産性・名作 | コレクター・投資層 |
| 本格派マニア向けヴィンテージ | 中〜高 | 年代・背景・作り | カルチャー層 |
| ファッションとしてのヴィンテージ | 中 | スタイリング・トレンド | ファッション層 |
|
デイリーユースのお得感ある |
低〜中 | 価格・選びやすさ | ライト層 |
| センス型 | 中 | 世界観・編集 | 体験重視層・ファッション層 |
一概に古着好き/古着屋さんと言ってもいろんな違いがあることがわかります。
では今回のテーマ、古着好きは流行が終わったらどこに行くのか。
間違いなく言えるのは「クラスタ毎に向かう場所は違くなるだろう」ということです。
これだけ需要が細分化しているので、「古着着てた人たちって今みんな〇〇着てるよね」とはならないんだろうなと。
今の起き始めているトレンドと照らし合わせつつ、さらに想像を膨らませてみます。
古着ライト層
やや離脱しそう。
価格・デザイン・トレンドのバランスが大事にされると思う。
このトレンドの部分が失われるので、補完するトレンドが選ばれるだろう。似合う人が多く、今後は色よりシルエットの時代になることが予測されるので「ノームコア」を推す。というか古着もノームコア化している人は少なくない。
やっぱり一番バランスがいい、合理的なトレンドだと思う。
他のスタイルを取り込んでも違和感が少ないのも高評価。
シルエットや色で気分を変えられるのもいいですね。息が長いトレンドには理由があるなと感じます。
ファッション層
離脱しない人もいそう。
非常に難しいのは、流行の速度がスピードアップしすぎて、「モードの迷宮」と言われる「流行ると着たくなくなる」アレがなくなりそうだからだ。
「オシャレって何?」という命題にみんな気づきつつあって、自分のスタイルを見つけるという答えにたどり着く人が多いように思う。
一層自分に対して向き合い、個性をまるっと愛せる時代になるといいな。「それぞれの道に大きく舵を取る」に一票。
品質・価値層
維持かな。
理屈と自分の価値観を育む層はトレンドで大きく変わるとは考えにくい。
古着・ナチュラル・アウトドア・人体工学的な服といった、人が生活する中で道具としての服はそもそもトレンドの影響を受けにくい。ただ、時代とともに素材への追及は深くなりそうだ。【シルク混・カシミヤなどの価値が高まる】ように思う。
余談だが、最近はレザーアイテムが人気だが、SDGsに向けて進む社会に逆らっているのが気になった。
今後5年以内でSDGsは大きなテーマになりそうだが、思ったよりファッションでは一方向には進んでいない印象も。
天然素材の魅力が強すぎるのか・・・SDGsが本気を出すと、芸能人に着せたり広告を強く打ちだしたりして【エコこそオシャレ】というメッセージを打ち出すようになる。その時にも天然素材は人を魅了するかは注目だ。
知識層(本格派マニア層寄り)
古着が好きで知識を掘り下げる層は、どんどんトレンドゲームを横目にどんどん自分の世界観を深めていくのだろう。
ファッション層にも一部いる「自己表現」と重なる部分がある。
多分一番アートな層だと思う。【希少なヴィンテージ、アーカイブやアルチザンといった敷居の高い希少性のあるファッションを引き続き探し続ける】と思う。
なぜなら新参者が入ってこれない聖域を求め続ける性質があるからだ。
体験型
減少するかなとおもう。
お店が好きな層はコアな人しか残らないとみられる。よりトレンドに沿ったサービスの良いお店が必ず出てくるからだ。
Dig層は違うアイテムをDigしていくのだろう。このDig層は今思うと知識層と古着ライト層の両方の性質を持っているのかもしれない。
探す力と行動力の根源は宝探し。【コアトレンドの先端情報を武器にお宝を探し続ける】か、【体力が切れて落ちつく】かのどちらかに感じる。
ビジネス層
離脱。
各視点を想像しながら書いて気づいたこと

第3次古着ブームが広げたのは、ヴィンテージというジャンルそのものよりも、「新品と古着を自由に行き来していい」という感覚だったようにも思えます。
状態が良いものを選んでもいいし、ボロボロでも気に入ればいい。
高くてもいいし、安くてもいい。
いろんな価値観がアップデートされて、従来の凝り固まった考えを取り払ってくれるようなトレンドだったと思います。
やはりSNSのおかげで情報が平等に受け取りやすく、オシャレに対する感覚をブラッシュアップしてもらえているからだと思います。
インスタやTiktokでは海外ファッションなどもわかりやすくまとめられていて、欲しい情報がすぐに手に入るようになってきている。
もはやファッションシンギュラリティと呼んでもいい数年間ではないでしょうか。
みんなおしゃれになった時代、自分次第でどんどん変われる時代。
面白い時代に店を出せていることに深く感謝しつつ・・・
おまけ
情報がディープになっていくこれからは、SNS化されていない情報に価値が集まると思います。なので雑誌のアーカイブは価値が高まるはず。
最近の「ミスター・ハイファッション」の20周年が3万円を超えるプレミアがついているように・・・
とりあえず雑誌は集めて損はないと思います。